もう3月も終わりです。今年は桜が咲くのが遅めですが、近所でも少し咲き始めました。
今回紹介するのは、桜と嵐の歌です。桜の季節は、よく雨がふります。強い風がふく日もあります。桜の花はすぐ散ってしまうので、お花見に行く日まで花が残っているか、不安になります。
It’s already the end of March. The cherry blossoms are late blooming this year, but they have started to bloom a little in my neighborhood.
I would like to introduce a poem about cherry blossoms and storms. During the cherry blossom season, it often rains. Strong winds blow on some days. I wonder if there will be any blossoms left until the day I go out to see the cherry blossoms.
花さそふ 嵐の庭の 雪ならで ふりゆくものは 我が身なりけり
入道前太政大臣 (1171-1244)
百人一首 九十六番
新勅撰集 雑
にゅうどうさきのだいじょうだいじん
ひゃくにんいっしゅ きゅうじゅうろくばん
しんちょくせんしゅう ざつ
かな
はなさそふ あらしのにわの ゆきならで ふりゆくものは わがみなりけり
「さそふ」は「さそう」と読みます。
言葉の意味
花さそふ | 嵐が桜の花を散らす | storms scatter cherry blossoms |
嵐の | 強い風がふいている | strong winds blow |
庭の雪ならで | 庭の雪(のような桜)ではなく | It’s not (the cherry flowers like) snow in the garden |
ふりゆくものは | ふっているものは | What is falling is |
我が身なりけり | 自分のことだな | That’s me, myself |
日本語で「誘う」は、”invite” ですが、この歌の中では「強い風が桜の花を散らしている」という意味で使われています。
「降る」は、英語で “fall” です。また、「年を経る」は、「年月が経つ」、「年を取る」という意味です。「ふりゆくもの」は、「散っているもの(桜)」と「年をとっているもの(自分)」の二つの言葉をかけています。「言葉をかける」とは、意味の違う、同じ音を持つ言葉を使って、一つの言葉で二つの意味を表現するテクニックのことです。
The Japanese word for “誘う” is “invite,” but in the poem ”花誘う” is used to mean “the strong wind is scattering the cherry blossoms.
The English word for “降る” is “fall. Also, “年を経る” means “the years pass” or “I grow old. ”ふりゆくもの” is a play on two words: “that which is falling (cherry blossoms)” and “that which is growing old (the writer).” “言葉をかける/Words-over-words” is the technique of using words with different meanings and the same sound to express two meanings in a single word.
現代語訳
嵐が桜の花を誘って、庭に雪のように花がふっている。でも、ふっているものは (年をとっているものは)、花ではなくて、私自信なのでしょうね。
The storm is luring the cherry blossoms to scatter their blossoms like snow in the garden. But I guess what is sprinkling (and getting old) are not flowers, but me.
桜を詠んだ歌はたくさんありますが、その多くは、散っていく時の気持ちを表したものです。満開の桜より、散っていく桜に心が動かされるのでしょうね。この歌は、散っている桜に、自分の年を重ねて詠んだものです。いろんな気持ちが想像できますね。
There are many poems about cherry blossoms, but most of them are about the feeling of falling. I guess the falling cherry blossoms more move people than those in full bloom. In this poem, the poet superimposes his age on the falling cherry blossoms. I can imagine various feelings.
今日は友だちとお花見に行く予定でしたが、桜の花がまだ咲いていないので、来週行くことにしました。
今回もここまで読んでくれてありがとうございました。
満開の桜 | まんかいのさくら | Cherry blossoms in full bloom |
令和六年三月三十一日