あしびきの ~ through the long night ~

あしびきの 山鳥の尾の しだり尾の
長々し夜を ひとりかも寝む

柿本人麻呂かきのもとひとまろ (6??-7??)
百人一首ひゃくにんいっしゅ」 三番 恋
拾遺集しゅういしゅう

かな

あしびきの やまどりのおの しだりおの ながながしよを ひとりかもねむ

Ashibiki no  yamadorino o no shidario no naganagashi yo o hitorikamo nen

言葉の意味

あしひきの
この言葉に意味はありません。歌の中で、リズムをととのえるために使います。このような言葉を「枕詞まくらことば」と言います。「あしひきの」の後ろには、「山」がつづきます。

It functions as a decorative prefix with no direct translation. It is used in a poem to regulate the rhythm. Such words are called “makura kotoba / pillow words.” The word “ashihiki no” is followed by “yama/mountain.”


山鳥やまどり
漢字から意味が想像そうぞうできますね。山にいるキジの鳥です。山鳥のオスには上の写真のように長い尾があります。

You can guess the meaning from the kanji. It’s a pheasant bird found in the mountains. The male of this bird has a long tail, as shown in the photo above.


しだり
長くたれ下がっている尾のような  like a tail hanging down


長々ながながし夜をひとりかも寝む
長い夜をひとりで寝るのだろうか。 Will I sleep through the long night?

現代語訳

山鳥やまどりのように長い夜を、私は1人で寝るのだろうか。

Will I sleep alone through nights as long as a mountain bird’s tail?


 秋になると夜が長くなりますね。今でも「秋の夜長よなが」という言葉は使われています。そんな長い夜をひとりで過ごすさびしさを詠んだ歌です。
 山鳥の夫婦は夜は別々べつべつに寝ると言われていることから、山鳥という言葉は「一人の夜」のイメージを持つようになりました。秋の夜の長さを山鳥の尾に例えているのもおもしろいですね。また、この歌は声に出して読むとリズムのよさも楽しめます。

 Autumn brings longer nights, doesn’t it? Even today, the phrase “aki no yonaga / autumn’s long nights” is still used. This poem expresses the loneliness of spending such long nights alone.
It’s said that mountain bird couples sleep apart at night, giving them an image of solitary nights. It’s interesting how the length of autumn nights is compared to the tail of a mountain bird. Additionally, reading this poem aloud allows you to appreciate its pleasant rhythm.


 作者の柿本人麻呂かきのもとひとまろは、7世紀せいきの終わりから8世紀の始めごろの人物です。日本最古の歌集かしゅう万葉集まんようしゅう」には、柿本人麻呂の歌が数多かずおおのこされています。柿本人麻呂の使った枕詞まくらことばや歌のテクニックはその後の和歌に大きな影響えいきょうあたえました。

 The author, Kakinomoto no Hitomaro, lived from the late 7th to the early 8th century. Numerous poems by him are preserved in the Man’yōshū, Japan’s oldest anthology of poetry. The pillow words and poetic techniques employed by him had a profound influence on subsequent waka poetry.

「~ことから、」は、「~が理由で」という意味です。
「~に影響えいきょうあたえる / have an effect on ~, have an impact on ~」

上のふたつはどちらもN3レベルの表現ひょうげんです。

 今日もここまで読んでくれてありがとうございました。 
 本日、11月23日は天気にめぐまれ、きれいな紅葉こうようが見られました。

令和七年十一月二十三日
 

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